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の人は、20人エキストラを入れてやるんですよ。50人しかいないオーケストラは70人がエキストラという格好でやることになるわけです。ですから、上手下手はあっても基本的には全く同じです。
ポピュラーの何とかタンゴオーケストラとか、何とかスイングオーケストラになってきますと、楽器の編成というのが決まっていまして、例えば8人なら8人の編成の音色を売り物にします。何の曲をやるときも、その8人で弾けるように編曲して、演奏するわけですね。非常に演奏本位なんですね。ところが、クラシックの場合は、先ほど言ったように作品本位でして、作曲家がこういうふうに書いたというと、作曲家がそこに人数の指定も全部しているわけですから、どのオーケストラがやっても、50人のオーケストラがやっても100人のオーケストラがやっても人数も編成も同じ。つまり、50人のオーケストラだったらいっでも50人しか出ない、100人のオーケストラだったらいつでも100人出ているという性質のものじゃないんですね。
しかしオペラの場合になりますと、「カルメン」というオペラがあるとします。「カルメン」というオペラの音楽そのものは全く同じですけれども、それの演出のやり方ですとか、照明のプラン、衣装のデザインなどはいろいろあります。舞台装置なんかも、非常に簡単に安くやることもできるし、物すごく豪華に、何十倍の制作費をかけてつくることもできる。だけど、クラシックの音楽の場合は、一応だれがやっても、基本的には全く同じなのです。
そうすると、そこで企画をするときに何をやるかということになってくるんですが、もちろんこういう曲をやりたいということはありますよね。べートーベンのこういうシンフォニーをやりたいといったら、それは1つの考え方で、それをやれる人たちを呼んできてやればいいわけです。つまり、曲を選ぶか、あるいは演奏者を選ぶか、そのどちらかしか選択肢はないんです。クラシックの曲で、この曲はこの地域にふさわしいという曲はないと思いますし、若し地域性があるとすれば、地域出身の演奏者を選ぶぐらいでしょう。
ただ、公演の企画という面から考えますと、もっと連続的な考え方で、1年間なら1年間を通して、例えば音楽の催し物を何回やる、何本やる。そのうちの何本はこういうもので、何本はこういうもので、何本はこういうものだというような方針をたてて、それに合わせるような形で内容を選んだりしていくということの中から、地域性みたいなものを生み出していくという考え方をするのが良いのではないかと思います。地域にホールがあるわけですから、その地域から皆さん集まってこられるということは

 

 

 

 

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